マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

恨みに思う人を赦すということは

 恨みに思う人を赦すということは――
 第一には、その“恨み”を忘れることです。

 が――
 恨みは、そう簡単には消せません。

 いつまでもいつまでも消え残って――
 心の奥底に沈殿していくものです。

 もし恨みが永久に消えないのならば――
 恨みに思う人を許すということは、恨みに思う自分自身の心を誤魔化すことです。

 痛いのを「痛くない」と誤魔化すように――
 熱いのを「熱くない」と誤魔化すように――

 あるいは――

 苦しいのを「苦しくない」と誤魔化すように――
 苛立つのを「苛立たない」と誤魔化すように――
 不快なのを「不快でない」と誤魔化すように――

 どだい無理な話なのです、そんなことは――人である以上は――

 でも――
 人は、そうやって人を赦していくしかないのですよね。

 人の世で、まずまず幸せに暮らしていくには――
 そうするより仕方がないのです。