たいていの話は、一人称で語るほうが面白いのですが――
なかには――
あえて三人称で語るほうが面白い話もあります。
一人称で語るというのは、
――僕が○○して……。
とか、
――△△だと私は思ったんだよ。
とかいう語り方です。
つまり、「僕」や「私」が前面に出る語り方ですね。
これに対し――
三人称で語るというのは、そうした一人称が前面に出てこない語り方です。
――ふつうは☆☆だと思うものだよね。
とか、
――□□だと一般的には考えられている。
とか――
では――
あえて三人称で語るほうが面白い話とは、何か――
それは、例えば、男女の話です。
あるいは、親子関係の話とか……。
こういう話は、あまりにも私秘的すぎて――
つい愚痴に走りそうになるものです。
そんなときには――
一人称よりも三人称のほうが、語り手の自制がききやすいのですよ。
男女の話は、愚痴さえ混じらなければ――
誰が聞いても、面白く感じられるものです。