物事の本質を掴むということは――
物事の細部を切り捨てるということに、どうしてもなりがちです。
少なくとも、人が早期に何事かの本質を、
――理解した!
と思い込むためには――
いったんは細部を無視しなければ難しい――
それは、おそらくは人類の知の経験的な事実です。
が――
そうはいっても、やはり、
(細部は本当に無視してよいのか)
という疑問は残ります。
――神は細部に宿る。
などといいますから……。
細部を無視して本質を理解することなど、
(……できるのか)
と――
全ての細部を掻き集め――
それでもなお、手に残る何かがあるのだとすれば――
それが本質ではないでしょうか。
本質は掴むものではなく――
手に残る何かかもしれません。