写真と絵画とで――
仮に、同じように面白い描写・構図・色彩などが題材となっている場合に――
両者に優劣をつけることは可能でしょうか。
例えば――
17世紀オランダの画家ヨハネス・フェルメールの写実的な絵画は――
それと全く同じような描写・構図・色彩の写真と比べたときに、優れているのか、劣っているのか――
僕は――
素朴に、
――フェルメールの絵のほうが優れている。
と思ってしまうのですが――
(でも、待てよ……)
と思わないでもないのですね。
僕の疑問は、ただ一点に集約されます。
それは、
――もし、17世紀のオランダに、今日のような写真があったなら、フェルメールは、あれら絵画の制作にとりかかったであろうか。
と――
――とりかかった!
と、多くの人が信じたがることでしょう。
僕も、その一人です。
が――
確かめることはできません。
今日の意味での写真が発明されたのは19世紀のこと――
21世紀の今となっては――
永遠の謎といわざるをえません。