人は簡単なことで自分を見失います。
「自分を見失う」とは――
自分が、どこで、誰によって支えられて生きているのかを忘れてしまう――
ということです。
誰かに支えられて生きている自分――
そんな自分を取り巻いている状況――
それらが、わからなくなるとき――
人は、自分を見失っているのです。
ですから――
自分を見失わない能力というのは――
自分自身を見つめる視点の源から、つねに自分自身の姿を、必死になって追跡していく能力です。
その視点の源は――
できるだけ遠くに設定しなければなりません。
近すぎると――
自分を取り巻く状況の一部しか、みえませんから――
自分自身の近くしかみえていなければ――
それは――
自分を見失っているも同然ですね。
とはいえ――
自分自身を見つめる視点の源が遠くにあれば――
それだけ追跡が大変なのは自明です。
だからこそ――
人は簡単なことで自分を見失うのでしょう。