マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

完全無欠の完璧な……芸と学と

 完全無欠の完璧な芸は――
 かえって味気ないのかもしれません。

 完璧な芸よりは――
 むしろ「ほぼ完璧な芸」のほうがよい――

 そうした芸の中に潜む欠陥が、かえって抒情を高めうる――
 そうした可能性を――
 僕らは、もう少し考えてもよいでしょう。

 何といっても――
 芸は人の行うことなので――

 これに対し――
 学(学問)は、やはり完全無欠の完璧がよいでしょう。

 完璧の学よりも「ほぼ完璧の学」のほうが、かえって抒情が高まりうる……なんてことを考える人は――
 おそらくは、いない――

 学とて人が行うことですが――
 そこで期待されることは、決して人らしさではないのです。

 この点が芸との決定的な差異といってよいでしょう。

 もちろん――
 完全無欠の完璧な学などは、多分この世に存在しえないでしょうが――