マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

虚構の物語は、現実の主張を含んでこそ

 虚構の物語は、現実の主張を含んでこそ――
 心地よいメッセージ性を醸し出せるのだと思います。

 現実の主張を欠いた虚構は――
 例えば、作者が現実世界の諸問題から目を背けているのが明らかに伝わってくる虚構は――

 もちろん、それがメッセージ性を帯びることはあるにせよ――
 そのメッセージが、

 ――心地よい。

 と感覚されることは、まれでしょう。
 むしろ、

 ――なんか好き勝手やってるな~。

 で看過されかねません。

 現実世界は一つしかなく――
 その世界を皆で共有している以上は――
 やはり、そこから完全には遊離してしまわないほうが、人々の共感を誘えるのです。

 ――ああ、わかる。それ、わかる。

 という「共感」ですね。

 この「共感」が「心地よいメッセージ性」を下支えするのです。

 ということは――
 つまりは、虚構の物語の紡ぎ手にとっては、

 ――現実世界の諸問題をちょっと誇張して提起してみせる。

 といった手法が有利に働く――
 ということです。