マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

「言い切る美学」の真髄

 ここ数年、

 ――心と体、人間の全部

 というキャッチ・コピーが――
 TVのCMなどで流れていますね。

 オリンパス社の「広告キーフレーズ」だそうです。

 正しくは、

 ――ココロとカラダ、にんげんのぜんぶ

 と表記するのだそうですが――

 このコピーに――
 僕は、けっこう深く共感しているのですよ。

 その理由は2つあって――
 第一には、「心と体」と列挙されている点――

 人は、「体」に比べると、つい「心」を重視しがちなのですが――
(いやいや、そんなことないよ。体も大事だよ)
 と、このコピーは主張しているのですね。

 日頃から、
(心だけじゃないよ。体もあるよ)
 と思っている僕としては、「心と体」の列挙に実に重大なメッセージを読み取りたくなるのです。

 さらに、注意をひくのは、「人間の全部」と言い切っているところですね。

 それが第二の理由です。

(本当かよ?)
 と、意地悪をいいたくなる気持ちもある反面――

(よくぞ言い切った!)
 と、その勇気を称えたい気持ちもあるのです。

 本当は、
(わからないでしょ?)
 と、僕は思っているのです――「人間」から「心」と「体」とを差し引いたら、本当に何も残らないのか――

(実は、なんかは残るんじゃないの?)
 と――

(その「なんか」の実態は、よくわからないけれど……)
 と――

 しかし――
 オリンパス社のキャッチ・コピーは、見事に言い切っているのですね。

 ――いやいや、何も残りませんよ。

 と――

 その歯切れのよさが、何とも心地よい――

 ――言い切る美学

 の真髄が――
 これにはあります。