心と体とは――
切っても切れない関係にあるのですよね。
きのうの『道草日記』でご紹介した実験の結果――
家族から思いがけず愛情の感じられる言葉をかけられると、鼻の頭の周囲の表面温度が上がるという結果は――
それを雄弁に物語っています。
なぜ鼻の頭の周囲の表面温度が上がったのかについては――
きのうの『道草日記』でも述べたように――
慎重な考察が必要です。
心がリラックスをして、自律神経の一部である副交感神経が活性化した結果、鼻の頭の周囲を含む末梢体温が上がったのか――
それとも――
心が動揺して、脳に血液が集まった結果、脳に溜まりすぎた熱を逃がすために、鼻の頭の周囲を含む顔の表面が熱を放散したのか――
それとも――
もっと他の理由が考えられるのか――
その辺りについては――
医学・生理学的に少々厄介な考察を必要とします。
が――
大切なのは、心が変化すれば体も変化するという事実の認識のほうでしょう。
僕らは、日頃の素朴な感覚から、つい、
――心は心、体は体
と分けて考えてしまいがちです。
心の変化と体の変化とは互いに無関係であるとか――
体の振る舞いは心の移ろいからは独立しているとか――
そういった素朴な分類は――
自分や自分の周囲の人たちの心や体に十分に配慮しようと思ったときには――
無益であるばかりか、むしろ有害です。
心が体を抑えきれないことはある――
体が動くことで心も動くことがある――
そのような密接な関係に――
心と体とはあるのですね。
いいかえるなら――
例えば――
誰かを心で愛していれば、体でも愛しているし――
誰かに心で恋をしていれば、体でも恋をしている――
あるいは――
誰かを心で嫌っていれば、体でも嫌っているし――
誰かを心で恐れていれば、体でも恐れている――
そういった抜き差しならぬ関係に――
心と体とはある――
ということです。
こうした関係を強く意識するかしないかで――
僕らの日常は、ずいぶん変わってくるでしょう。