人のいうことをきいて損をすることは、たまに――あるいは、しばしば――あるものですが――
それでも、なお、人のいうことをきこうとするかどうかは――
かなり大切なポイントだと思うのです。
もちろん――
答えは一つではありません。
例えば、
――損することがあるんなら、人いうことなんかきかないよ! 自分の思うとおりにやるさ!
というのに一理はありますし、
――損をしないこともあるんだから、とりあえずは人のいうことをききますよ。
というのにも一理ありますし、
――人の世で暮らすには、たとえ損しかしなくたって、必ず人のいうことを一度はきかなきゃ!
というのにも一理あります。
どの「一理」を採るのか――
そこに、その人の価値観――もっといえば、人生観・社会観――が滲み出るのです。
恐ろしいといえば、恐ろしい――
「かなり大切なポイント」などといって誤魔化していてはいけないのかもしれません。