同じ概念に違う言葉を当てるということに――
僕らは、もう少し寛容になってもよいのかもしれません。
通常――
既存の概念に新たな言葉を当てることは――
いたずらな混乱を招きます。
ですから――
同じ概念に違う言葉を確信犯的に当てるのは、知的に誠実な態度とはいえません。
が――
うっかり当ててしまうということなら、あるでしょう。
自分の着眼した概念が既知の概念とわからずに――未知の概念と誤解して――新たな名前を当てることなら――
大いにありうることです。
人が一生のうちに学べる量などは高が知れているので……。
そうした知的営みの瑕疵に――
僕らは、もう少し寛容になってもよいのではないでしょうか。
もし、そうした瑕疵に不寛容であれば――
人は、終生、単に学び続けるだけの存在になります。
それでは、人知の深化はありえないでしょう。
単に学び続けるだけの人に未知の概念は決して生み出せないからです。