マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

自分の意見をいおうとしない人は

 どんな場合でも自分の意見をいおうとしない人は――
 ふつうは侮られるものですが――

 もし、その人が、明らかに自分の意見を持っていて、しかも決して口下手ではない時には――
 むしろ深い敬意の対象となるでしょう。

 ――ああ、あの人は、自分の意見をあえていわないでいるのだ。自分を律しているのだ。

 と解釈されるからです。

 実際、弁舌がたち、知識が豊富で、洞察が深遠な人が、自分の意見をいわないでいるというのは――
 一種の苦行であろうと思います。

 その気になれば、いくらでも自分の意見を示し、相手を説得できるかもしれないのに――
 それをあえてしないというのですから――

 そういう人には――
 ここぞというところで、そっと問いかけることです。

 ――ところで、ご自分では、どのようにお考えなのですか。

 と――

 ――そういえば、今までお考えを承っておりませんでした。ぜひ承りたく存じます。

 と――