歌詞というのは――
ずいぶんと言葉を切り詰めて表現するものですから――
ときどき――
書き手と読み手との理解・印象が大きく解離します。
例えば――
書き手は、
――ほんわか・ほのぼのとした歌詞
のつもりで書いているのに――
読み手は、
――陰惨・無慈悲・無情な歌詞
のつもりで読んでいる――
などということが、ときに起こります。
このような解離が起こるのは、もちろん、
――その歌詞の完成度が低いから――
で説明することもできますけれど――
おそらく、それだけでは不十分です。
どんなに完成度が高く、一つひとつの言葉づかいが洗練されていても――
言葉に唯一の意味を伝えさせることは、人にはできないからです。
「言葉に唯一の意味を伝えさせる」とは――
より厳密には、
――読み手の心に、画一的な想起や統一的な想念を生じせしめる。
ということです。