おとといの『道草日記』で、
――流行に秘密はない。いま流行しているものが流行しているだけ。
と述べましたが――
これをもう少し詳しく説明しましょう。
一般に、何が流行するかを事前に予想するのは難しいことだとされています。
難しいというより、ほぼ不可能――
ところが、「これは、いま流行しているものだ」といって世に問うたものは――
その後しかるべきプロモーションをかければ、かなりの確率で流行するのだそうです。
例えば、全国で100個しか売れていない商品を、正直に「まだ100個しか売れてないんですよ」といって売り込むのと、ちょっと大げさに「いま、すごく流行してるらしいんですよ」といって売り込むのとでは――
その後の売れ行きが、ぜんぜん違うのだそうです。
このことは――
人の心の動きの原理として、
――「流行しているらしいもの」には、しぜんと注意が向く。
ということを仮定すれば――
よく説明できます。
――そのバスに乗り遅れな!
といった集団心理が働くのでしょう。
そうやって「乗り遅れ」をしない人たちが現世に多くの子孫を残してきた結果――
この現代社会において、そのような集団心理の傾向に拍車がかかっているのだろうと思います。
かくいう僕は、流行を追いかけるのが好きではないのですが――
それでも、流行は気にはなるものです。
(バスに乗り遅れても、まあ、いいよ。どうせ満員なんだろうから……)
などと怠惰に思っているだけで――
本来は、バスに乗り遅れまいと必死になるのが、たぶん人として自然なのだろうと思っています。
そういう自分の本能にも従わずに怠惰に生きている――
ということなのでしょうね。