ある人に「よかれ」と思ってやったことが――
その人にとって本当によいことかどうかは、わかりません。
ましてや――
その人の身近にいる人たちにとって本当によいことかどうかは、もっとわかりません。
ですから、
――小さな親切、大きなお世話
という言葉が生まれたのでしょうが――
実際には、よくないのは「小さな親切」ではなくて――
「中途半端な親切」です。
その人の状態や置かれている状況をつぶさに把握することなく――
自分の思い込みだけで「よかれ」と判断してしまう――
その「中途半端」が「大きなお世話」をもたらすのです。
「小さな親切」であろうと「大きな親切」であろうと――
状態や状況を慎重に見極める必要があります。
「小さな親切だから、それほど手間はかからない」とか、「大きな親切だから、念入りに準備しないといけない」ということはありません。
どちらも手間としては同じです。
ただ、相手が受けとる利益の規模が違う――
些細な利益を供与するのに、多大な利益を供与するのと同じ手間をかけるという意味で――
「小さな親切」は「大きな親切」よりも難しいといえるでしょう。