――借金を抱えこんだからこそ、あれだけの仕事ができた。
とか、
――貯金を全て失ってしまったからこそ、今の自分がある。
とか――
おカネを失うことで、かえって業績をあげたり自分を高めたりする人たちの話を――
最近、しばしば耳にするようになりました。
(たしかに、そういうことはあるだろうな)
と感じます。
借金があるからこそ、自分を駆り立てることができる――
貯金があるからこそ、自分を追い込むことができない――
借金や貯金の有無が、自分の心を支配している――少なくとも、自分の心に強く影響を与えている――
ということは、認めないわけにはいかなさそうです。
こういう話をすると、
――カネは、人の脳の中を飛び交っている電気信号の別形態である。
という考え方が、しっくりきます。
今日――
人の心は、脳細胞の発する電気信号の組み合わせが基盤であると考えられています。
その電気信号の一部が人の脳を飛び出して貨幣・紙幣に内蔵されたものが、いわゆる「カネ」ではないか、ということですね。
まあ、「内蔵されたもの」というのは、たぶん正確な表現ではなくて、
――「たしかに内蔵されている」と人々が皆で思い込みあっているもの
なのですが――
借金や貯金が人の心に影響を及ぼすのであれば――
そのメカニズムは、意外に単純明快ではないかと夢想します。
例えば――
借金のある人の脳では、電気信号が飛び交いやすくなっていて――
貯金のある人の脳では、電気信号が飛び交いにくくっている――
というように――