――本を手放す技術
というものが――
間違いなくあると思っています。
この場合の「手放す」とは――
例えば、古書店に売るとか、友人にあげるとか、ゴミとして捨てる、といったことの全てを含みます。
手放すことの何が難しいのかといえば――
第一には、その本が、もう自分にとっては必要がないと確信できることであり――
第二には、その確信が実際に当たっていること――手放しても決して後悔しないということ――
です。
第一の難点は、勢いで克服することもできます。
――えいや!
で手放してしまう――
が――
第二の難点は、そうはいきません――あとで確実に自分自身に跳ね返ってくる――
――ああ~! あのとき売らなきゃよかったな~!
と――
これら難点を着実に克服するには――
自分の関心や思考の方向を正確に自覚すること、および、その本に書かれている内容や書かれた意図を正確に把握することが必要です。
これは、なかなか難しい――
僕は、今まで、けっこう多くの本を手放してきましたが――
いま振り返って、
(うむ! あのとき、バッチリ手放せた!)
と納得できる本は――
たった1冊です。
大部分は、
(まあ、あのとき手放して、よかったかな~。でも、この先どうかな~)
と、今でも半信半疑です。
そして、
(しまった! 手放すんじゃなかった!)
と、今でも歯ぎしりしたくなる本が――
数冊ほどあります。