物語に新鮮味をもたらすものは――
結局のところは、
――倒錯
ないし、
――逆転
しかないのではないか、と――
僕は思っています。
新鮮味のある物語というのは――
例えば――
一般には善良とみなされることが悪徳とみなされている世界での物語とか――
一般には疎まれたり、蔑まれたり、恐れられたりしやすい人物の物語とか――
一般には稀有すぎて実際に起こるとは考えられない事象が起こる物語とか――
このように――
何か一つでも「倒錯」ないし「逆転」の要素がないと――
物語は新鮮味を失い――
容易なことで、
――いつか、どこかで、みたことのある物語
に堕してしまうのですね。
もちろん――
そうした物語が市場で成功しないということは決してなくて――
むしろ、巧妙に企画すれば、成功しやすいくらいのようですが――
少なくとも物語の新鮮味としては――
低い評価を受けることになります。
これまでに様々な物語に触れてきた人たちを、
「新しい!」
と唸らせるには――
どうしても「倒錯」や「逆転」が必要なのです。