――“強さ”とは優しさである。
とか、
――“強さ”とは柔軟性である。
といった言い方がなされますが――
正直――
あまりピンとこなかったのです。
が――
最近、
(本当の意味で“強い人”とは、どういう人たちだろう?)
と考える機会があって――
ふと思い至ったことがあります。
それは――
*
しばしば――
“強い人”というのは、いつも自分の死を意識して生きている人だといわれます。
僕も、その通りと思いますが――
いつも自分の死を意識して生きている人たちの中にも――
2通りあると思っているのですよ。
1つは――
自分の死が意識しやすい場所に身を置いて生きている人たちで――
もう1つは――
とくに自分の死が意識しやすいというわけではない場所に身を置いて――つまり、きわめて平凡な日常の平穏の只中に身を置きながら――自分の死を強く意識して生きている人たちです。
たしかに――
どちら“強い人”なのだろうとは思いますが――
より“強い人”というのは、たぶん前者の人たちではなくて――
後者の人たちではないでしょうか。
つまり――
危険な非日常の中で死を強く意識しながら生きている人たちではなくて――
安全な日常の中にも死を強く意識しながら生きている人たちではないか、と――
そう思い至りました。