自分が読んだ本のタイトルを――
思いつくままに列挙していくだけで――
何か自分にしか唱えられない思想のようなものを紡ぎ出した錯覚に――
陥ることがあります。
列挙したタイトルから意識的ないし無意識的に連想されることが――
何となく相互に繋がっているように感じられるからでしょう。
実際に繋がっているかどうかを意識して検証しようとした途端、
(あれ……、そんなに繋がってないな~)
と思知ることが大半なのですが――
そんな面倒くさい検証などは、よほど暇でない限り、実際にはやりませんので――
そうすると――
例えば――
風呂にでも浸かりながら、
(そんな本を読んだな。あんな本も読んだ。こんな本も読んだな……)
などと――
過去に自分が読んだ本のタイトルを思い返してみては、
(俺って、もしかして、スッゲぇ思想家かもしんない)
などと、ほくそ笑むことになります。
そして、
――本気で「思想家かもしんない」と思うなら、まず、その思想とやらを語り始めてみろよ!
などと――
自分で自分に突っ込んでみたり――
こういう空想じみた思索を気楽に練っていくことも――
たぶん、読書の楽しみの一つに違いありません。