小説家でも、マンガ家でも、映画監督でも――
物語は、主人公が異性でないと、なかなか描けない、という人がいるようです。
理由は、
――主人公が同性だと、妙に現実的な物語になってしまうから――
というもの――
――主人公が異性だと、異性のことは同性ほどにはわからないので、リアリティのあるキャラクター造形は無理だと割り切れる。だから、とことん非現実的な物語を追求することができる。
つまり――
そういう人は、最初から現実的ではない物語――荒唐無稽な物語――を希求していることになります。
そういう物語を希求している人にとって――
例えば、
――男性が主人公のラブ・ストーリーは受け入れられない。
とか、
――女性が主人公の冒険活劇はヒットしない。
とかいった固定観念は大変に厄介でして――
例えば――
女性のマンガ家さんが、男性を主人公にした荒唐無稽なラブ・ストーリーを描くことがためらわれたり――
男性の映画監督が、女性を主人公にした荒唐無稽な冒険活劇を描くことがためらわれたりすることになります。
こういう躊躇は、物語を描くほうにとっても、楽しむほうにとっても、まことにもったいないことだと思うのですが――
とはいえ、事前に「受け入れられない」とか「ヒットしない」とかいわれると、物語を描くほうとしては、どうしても元気がなくなりますから――
致し方ないことなのかもしれません。
それでも――
たまに、「男性を主人公にした荒唐無稽なラブ・ストーリー」や「女性を主人公にした荒唐無稽な冒険活劇」を見聞きするときがあって――
そういうときに、僕は、俄然わくわくしてきます。
そうした物語が世に出てくるまでには――
たくさんの抵抗があったはずです。
そうした抵抗を打ち破って世に出てきている物語のはずですから、
(きっとスゴい物語に違いない)
と思うのですね。
*
来月に封切りの映画『スター・ウォーズ』の最新作は――
女性が主人公のようですね。
この物語が冒険活劇なのかどうかは、よくわかりませんが――
なんとなく、
――スゴい物語
になっていそうな気はします――たんなる僕の思い込みかもしれませんが……(笑