――多数派工作
という言葉がありますね。
組織や共同体など、何らかの人々の集まりにおいて――
自分の所属する流派や派閥が最大規模になるように働きかけることです。
こうした働きかけに成功する秘訣というのを教わりました。
それは、
――まずは自分ないし自分たちが少数派であると仮定すること
なのだそうです。
仮に多数派であったとしても――
とりあえず少数派と仮定し、働きかける――
多数派だとは、つゆも思わない――
そうすれば――
自分ないし自分たちが多数派であることを確実に維持できるし、もしかしたら、より大規模な多数派を形成できるかもしれない――
少なくとも、多数派から少数派へ転落することは避けられる――
(たしかに、そうだろうな……)
と思いました。
10年くらい前に――
著名な識者が、ご講演の中で、
――どんな集団でも、ほぼ例外なく、部内者より部外者のほうに魅力が感じられるものだ。
と洩らされていたことを思い出しました。
ほとんどの場合――
多数派に所属する人たちは部内者とみなされやすく、所属しない人たちは部外者とみなされやすいと、いえます。
もし――
人は、普遍的に、部内者よりも部外者のほうに惹かれやすい――
ということが想定できるならば――
自分が少数派に所属しているとアピールすることは――
多数派工作の必須手段といえそうです。