どうすれば稼げるのか――
どうすればモテるのか――
そうした指南書の類いは、たくさん出版されていますが――
この手の書籍に向き合う姿勢には、少なくとも2種類あると思います。
一つは――
結論を重視する姿勢――
どうすれば実際に稼げるのか、どうすれば実際にモテるのかを理解し、吸収し、我が事として実践しようとする姿勢です。
もう一つは――
結論に至る過程を重視する姿勢――
なぜ、そうすれば稼げるようになると考えられるのか、モテるようになると考えられるのかを理解し、共感し、納得しようとする姿勢です。
当然ながら――
2つめの姿勢は、1つめの姿勢を良しとする人には物足りなく感じられます。
――何のために、この本を買ったと思ってんだよ! 金持ちになるためだよ! 恋人をつくるためだよ!
と――
一方――
1つめの姿勢は、2つめの姿勢を良しとする人には訝(いぶか)しく感じられます。
――本を1冊くらい読んだだけで、金持ちになれるわけがないだろう、恋人をつくれるわけがないだろう。
と――
皆さんは、どちらの考えに与されますか。
……
……
僕は、2つめの考えに与しています。
すなわち、
(結論は、どうでもよい)
という考えです。
(大切なのは結論に至る過程であって、結論ではない)
と――
なぜならば――
結論は、
(しばしば間違えているから……)
です。
1つめの考えに与して、結論だけを掬(すく)いとって実践を試みても――
その結論が間違っていれば、無益であるばかりか、かえって有害ですよね。
ところが――
その結論に至る過程が間違っている可能性というのは、そんなには多くないのです。
少なくとも、その過程の全部が間違っている可能性は、ほとんどないといってよい――
むしろ、間違っていない部分を多少なりとも含んでいる可能性のほうが、ずっと高い――
その間違っていない部分をヒントに――
自分で考え、編み出し、まとめていく――
そうした姿勢が、最も現実的で有効であろう、と――
僕は考えています。
どうすれば稼げるのか――
どうすればモテるのか――
その結論は、誰かに教わるものではなくて――
自分で掴(つか)みとっていくものです。