原則を貫き通す人が――
僕は好きです。
原則を容易なことでは崩そうとしない人を――
僕は信頼します。
が――
それには、以下のことが前提です。
原則は――
貫き通すことが重要なのではありません。
崩さないことが重要なのではありません。
重要なのは――
その原則が設けられた経緯を踏まえ、その原則の狙いを理解すること――
そして――
その原則が逸脱されるべき状況や条件を想定し、あらかじめ例外規定を設けておくこと――
この2点が重要なのです。
この2点の吟味は――
何でもないようであって――
実は、かなり骨の折れる知的作業です。
とくに例外規定が難しい――
原則は、例外規定を――
設けなければ、硬直化し――
設けすぎれば、形骸化します。
いま――
原則の経緯や狙いを理解しようとせず、また、原則の例外規定を設けようとせず――
原則を、ただ画一的に運用しようとする人のことを、「原則主義者」と呼びましょう。
原則主義者は、しばしば、
――快楽をむさぼっている。
と批判されます。
何が「快楽」なのか――
もちろん――
原則主義者にとって――
原則を画一的に運用することは、それだけで気持ちのよいことです。
ほとんど生理的に快感を覚えているといってもよい――
が――
ここで見落とせないことは――
原則主義者は、前述の「骨の折れる知的作業」を怠っているということです。
原則の経緯や狙いを理解しようとせず、また、原則の例外規定を設けようとしない――
原則主義者は、快楽をむさぼっている以外に、
――堕落にもふけっている。
というのが実態です。