物語には、
“暴力性”
があります。
例えば――
毎日、幸せに暮らしている人が、何気なく悲惨な物語に触れ、多少なりとも暗澹とした気持ちを強いられる――
ということが、ありえます。
物語に“暴力性”があるために――
物語の紡ぎ手は、どんな物語を、いつ、どんな人たちに向かって紡ぐのかを――
慎重に考えるわけですが――
この問題は、決して物語の紡ぎ手に固有のものではありません。
物語の受け手にとっても、十分に深刻な問題です。
物語の“暴力性”に、日頃から、あまりにも無頓着でいると――
時に看過しがたい違和感を覚えることがあります。
そして――
その違和感は、場合によっては、あきらかな辛苦ないし不愉快です。
――せっかく平穏に暮らしていたのに、なんて気持ちにさせてくれたんだ!
と――