勝負事では――
強者は、つねに強者らしく振る舞うのがよいでしょう。
強者が弱者に対し、弱者が採るべき戦法に徹することは――
賢明とはいえません。
弱者が変に勇気づけられ、実力以上の力を発揮するかもしれません。
ただし――
弱者は、つねに弱者らしく振る舞うのがよいのかというと――
そうではありません。
弱者が強者に対し、強者が採るべき戦法に徹することは――
ときに思わぬ成果をもたらしえます。
強者は――
弱者が強者の戦法を採るのをみて「なめられた!」と逆上し――
我を失うかもしれません。
あるいは――
変に不信感を抱き、かえって臆病風に吹かれるかもしれない――
いずれにしても――
強者の心の大きな隙が生まれうる――
その隙に弱者がつけいることで――
弱者が強者を倒す可能性は大いにあります。
……
……
ここで大切なことは――
強者が弱者に対し、弱者が採るべき戦法に徹することと――
弱者が強者に対し、強者が採るべき戦法に徹することとは――
決して同じではない――
ということです。
弱者が強者の戦法を採ることは――
ときに優れた奇策となりえますが、
――その逆はありえない。
ということです。
強者が弱者の戦法を採ることは――
単に弱者を利するだけです。