マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

戦時の格差是正

 戦前・戦中生まれの人で――
 高等教育を受けていて、深い教養を身につけている人が――
 ときに、誰かを口汚く罵ったり、唐突に乱暴な所作をみせたりすることがあって――

(なんでなんだろう?)
 と思うことがあります。

 この“捻じれ”は――
 興味深いことに――
 戦後生まれの人たちには、それほど目立ちません。

 もちろん――
 皆無ではないでしょうが――

 戦前・戦中生まれの人たちと同じくらいに目立つということはないように――
 僕は思います。

 この疑問を――
 先日――
 ふと漏らしたところ――

「いわゆる“戦時の格差是正”を経験しているかしていないかの差じゃないですか」
 といわれました。

「どういうことです?」
 ときくと――

 曰く、

 ――戦時中は、なし崩し的に社会的格差が是正された。例えば、東京帝大を出たような30歳前後のインテリが、徴兵で戦地に送られ、そこで旧制中学も出ていないような20歳前後の職業軍人に、朝から晩まで頬を叩かれた。そんな現実を見聞きし、あるいは直に体験をしたら、高等教育を受けていようが、深い教養を身につけていようが、そんなことは関係ない。お行儀よくしているだけ損である。無学で無教養の若輩者に負けないくらいに粗野なところをみせておかないと、舐められる。

 と――

 ……

 ……

(そうかもしれない)
 と感じました。