AかBか、どちらかに決めたいのだが――
どちらに決めても、甚大な損害が出ると見込まれるために――
どちらにも決められず、宙吊りのような状態が延々と続いていく――
こうした状態に耐え続けることが――
国家を率いる真のエリートには求められる――
そういう考え方が――
あるのだそうです。
イギリス流の考え方だそうです。
たしかに――
イギリスの教養人らが好みそうな考え方だと感じます。
……
……
この考え方に――
僕は全面的に賛成なのですが――
でも、
(ちょっと注意が必要だ)
とも思っています。
……
……
本当に、どちらにも決められないのなら、よいのです。
すなわち――
どちらに決めても、たしかに甚大な損害が出ると見込まれるときには――
“宙吊りのような状態に耐え続ける”で、よいのですね。
が――
本当は、どちらかに決められるのなら――あるいは、決めなければならないのなら――
すなわち――
どちらに決めても損害は出るけれども、例えば、Aと決めた場合の損害は耐え得る規模であり、Bと決めた場合の損害は耐え得ない規模であると見込まれるときには――
“宙吊りのような状態に耐え続ける”では、困るのですね。
そういうときは――
見込まれる損害の規模に留意し――
断固として、
――A
と決めなければなりません。
国家を率いる真のエリートに求められるのは――
単に“宙吊りのような状態に耐え続ける”の能力ではなくて――
何か決断を下すことに伴う損害の規模を――
正確に見積もる能力です。