――権力は腐敗する。
といいますね。
19世紀イギリスの歴史家ジョン・アクトンの言葉です。
この言葉、アクトンが差し出した手紙の中の一節だそうで――
そのあとには、さらに有名な次の言葉が続きます。
――絶対的な権力は絶対的に腐敗する。
……
……
なぜ――
権力は腐敗するのでしょうね。
たぶん――
残されたアクトンの文献などを調べれば、正確な答えはわかるでしょうが――
僕は、次のように、直観的に考えています。
すなわち、
――権力は人の邪な欲望を叶えてしまうから――
と――
邪な欲望と相性がよいのなら――
腐敗しないわけがない――
むしろ、
――腐敗することが権力の行使である。
とさえ、いえます。
ここで――
決して見逃せないことは――
権力を長く握ろうとする者は――
自分の握る権力が容易に腐敗しないように――
その行使をできるだけ控えようとするかもしれない――
ということです。
権力の行使は――
権力を握る者の権利であり、かつ義務でもあります。
権力の行使をできるだけ控えようとするということは――
権力を握る者としての責任を果たさない――
ということです。
つまり――
権力にしがみつく者は、責任を果たそうとしていない――
これは、これで――
かなり困ったことですね。
いかなる組織も――
そのトップの握る権力が行使されて初めて――
組織は機能するのですから――
……
……
優れた権力者は――
自分の握る権力を適度に早く行使して――
さっさと手放すのかもしれません。