――ご質問はありませんか。
という質問を――
僕は、よく用いるのですが――
この質問――
実は、悪い質問の典型なのだそうです。
きょう――
初めて知りました。
……
……
もちろん――
「ご質問はありませんか」と訊かれた人に――
もし、質問があれば――
その人は――
ただ、その質問をすればよく――
その後も、会話は続きます。
ですから――
とくに問題は生じません。
が――
もし、質問がなければ――
ちょっと困ってしまうのですね。
――ありません。
とか、
――とくに、これといった質問はありません。
とかというふうに――
否定の言葉で応じるしかなく――
しかも――
その言葉を最後に対話が終わってしまうからです。
否定の言葉というのは――
たとえ、それに否定的な意味合いが全くなくても、何となく負の印象を伴います。
ですから――
できれば口にしたくない言葉です。
そして――
その否定の言葉を最後に対話が終わるのですから――
さらに雰囲気は悪くなります。
まさに――
踏んだり蹴ったりです。
……
……
では――
僕らは――
「ご質問はありませんか」と訊く代わりに――
何と訊けばよいのでしょうか。
……
……
否定の言葉を最後に、対話が終わるのを避ければよいのです。
よって、
――ご理解いただけましたか。
が無難でしょう。
もし、理解ができていれば、
――大丈夫です。
と――
否定の言葉でない言葉を最後に、対話が終わります。
もし、理解ができていなければ、
――いえ、ちょっとわからないところがあります。
というように――
もちろん、否定の言葉は飛び出しますが――
それを最後に対話が終わるということはありません。
ですから――
とくに問題は生じないのですね。
……
……
ちなみに――
「ご質問はありませんか」と訊かれて、
――大丈夫です。
と答える人が――
昨今では少なくないそうです。
そういえば――
僕も、
――ご質問はありませんか。
と訊いたら、
――大丈夫です。
と返されることが多いように思います。
それは――
良い雰囲気で対話を終わらせるに便利な言葉であったのですね。