何かと何かとを比べることが――
人は、大好きだといわれています。
例えば、AとBとを比べる――
あるいは、Aとαとを比べる――
……
……
とにかく比べることが大好きで――
暇さえあれば、何かと何かとを比べたがるのが――
人間である、と――
……
……
比べること自体は良いことだ、と――
僕は思っています。
なぜか――
それは――
比べることで――
人は、様々なことを感じ、考えるからです。
例えば、AとBとを比べるときに、
――ああ。両方ともアルファベットだな。
とか、
――アルファベットの1番目と2番目だな。
とかというように――
……
……
人は、何かを感じ、何かを考えたくて――
何かと何かとを比べたがるのですね。
何かを感じ、何かを考えることは――
人の心の働きとしては、まことに自然です。
よって――
比べることを自体は――
まったく悪いことではありません。
が――
人と人とを比べることについては――
慎重になったほうがよいでしょう。
とりわけ――
自分と誰かとを比べることには――
慎重になったほうがよい――
……
……
本来――
人と人とを比べることには――
ほとんど意味がありません。
何かと何かとを比べるときに――
人は、たいていは共通点と相違点とを見出そうとしています。
が――
人と人とを比べる場合には――
それら共通点と相違点とは、あまりにも明らかであることがほとんどです。
――ああ、両方とも人間だな。
とか、
――あの人はこう考え、この人はああ考えるな。
とか――
……
……
もし、どうしても人と人とを比べるときには――
そんなに明らかでない共通点や相違点を見出そうとするのがよいでしょう。
そして――
比べる対象には――
決して自分を入れないことです。
少なくとも――
誰かと自分とを安易には比べないことです。
自分を十分に客観視できないうちは――
どんなに巧く比べようとしても、決して巧くは比べられません。
間違った共通点、的外れの相違点を見出すだけです。