――色気と猥褻(わいせつ)との違いは何か。
ということを――
この10年あまり、ずっと考えていたように思います。
本当は、
――猥褻とは何か。
を考えたかったのですが――
その問いでは――
らちが明かないように思えたので――
猥褻に類似していると思しき感覚として、
――色気
に注目したのでした。
……
……
――色気
については――
僕なりの答えは、ほぼ出ています。
おそらく――
色気とは、
――人の生殖欲求を刺激する感覚ないしは、その感覚の原因となる情報
です。
このように述べると――
ひどく味気ない概念のようですが――
最近の『道草日記』で繰り返し触れてきた図式、
恋 ≒ 生殖欲求
を思い浮かべて頂ければ――
その味気なさは、いくらかは和らぐでしょう。
……
……
以上を確認した上で――
――色気と猥褻との違いは何か。
との問いに移ります。
……
……
僕は、
――猥褻とは、ある感覚と色気との掛け合わせである。
と考えています。
数式らしく記せば、
猥褻 = 色気 × ○○
です。
ポイントは、
猥褻 = 色気 + ○○
ではないということです。
足し算ではなく、掛け算――
……
……
では――
この「○○」に当てはまるのは何か。
……
……
僕は、
――背徳
だと思っています。
つまり、
――道徳に背いている感覚
ですね。
ここでいう「道徳」は――
狭い意味です。
4日前の『道草日記』で――
僕は、
――道徳は欲求の関数である。
と述べました。
文脈上――
ここでの「道徳」は生殖欲求の関数とみるのが自然です。
よって、
道徳 = 道徳(生殖欲求)
です。
道徳が欲求の関数であり――
道徳に背いている感覚が背徳ですから――
背徳も――
きっと欲求の関数でしょう。
つまり、
背徳 = 背徳(生殖欲求)
です。
以上より――
猥褻とは、
猥褻 = 色気 × 背徳(生殖欲求)
と表されます。
例の図式、
恋 ≒ 生殖欲求
を用いれば、
猥褻 = 色気 × 背徳(恋)
となります。
……
……
色気については、「恋」と絡めるほうが良い感じです。
が――
猥褻については、必ずしも、そうではないようですね。
むしろ、「生殖欲求」に絡めるほうが、良い感じです。
つまり、
猥褻 = 色気 × 背徳(恋)
と記すよりは、
猥褻 = 色気 × 背徳(生殖欲求)
と記すほうが――
いかにも「猥褻」らしい感じが醸し出されるように思います。