マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

ヒトの闘争欲求が政治に課すこと

 生物種としてのヒトには、

 ――闘争欲求

 があり――
 それが人の営みの全般に強い影響力を及ぼしている――
 と考えることができます。

 ……

 ……

 人の営みの具体例として、

 ――政治

 を挙げましょう。

 しばしば、

 ――政治とは社会の利害調整である。

 といわれますが――

 その一方で――
 そうした利害調整――利益の分配や損害の分散――だけに政治を帰着させることはできない――
 という考え方も根強くあります。

 例えば、

 ――政治とは、社会の利害調整だけではなく、社会の構成員(例えば、民族)の自己同一性の確立および維持も政治に含まれる。

 というように――

 ……

 ……

 この考え方を――
 僕は採りません。

 ――社会の構成員の自己同一性の確立および維持

 は、

 ――社会の利害調整

 の一部だ、と――
 僕は考えます。

 例えば、

 ――民族の自己同一性は、しばしば民族の利益獲得や損害回避を保証する

 と考えることができるからです。

 ……

 ……

 きのうの『道草日記』で述べたように――

 生物種としてのヒトは――
 自己の生存が脅かされたら――
 概して、

 ――逃走

 より、

 ――闘争

 を選びます。

 こうした性質を備えているヒトにとって――
 民族の自己同一性の確立は、民族の利益獲得に結びつきます。

 民族が団結を示すことで、組織としての力を示し、民族全体に有形・無形の富みがもたらされるでしょう。

 また――
 民族の自己同一性の維持は、民族の損害回避に結びつきます。

 民族が団結を保つことで、組織としての和を保ち、無用な内部抗争で力がそがれるのを防げるでしょう

 ……

 ……

 社会の構成員の自己同一性を確立し、それを維持させることが、政治の課題の1つであることは――
 間違いありません。

 が――
 それは、あくまで“社会の利害調整”の一部分ないしは枝葉末節なのです。

 ヒトの闘争欲求が“社会の利害調整”という人の営み――つまり、政治――に課している問題の1つに過ぎません。