マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

多肢選択式の問題は、知行合一の思想から最も遠い

 入学試験や資格試験などでは――
 いわゆる、

 ――多肢選択式(multiple-choice)

 の問題が好まれますが――
 この形式の問題ほど、

 ――知行合一

 の思想から遠いところにある問題はない、といっても――
 過言ではないでしょう。

 多肢選択式の問題とは――
 例えば――
 以下のような問題です。

  問題
   ディープ・ラーニングとは何か。次の4つの選択肢から1つ選べ。
   (1) アルゴリズム
   (2) 機械学習
   (3) 深層学習
   (4) ニューラル・ネットワーク              (     )

 もちろん――
 答えは、(3) なのですが――

 この多肢選択式の問題で正解をするのに――
 ほぼ何ひとつ“行”を必要としません。

 右下の括弧の中に、ただ「(3)」と記すだけでよい――

 これは――
 およそ「行」とは呼べない程度の些細な“行”です。

       知
      行 行
     行 行 行
    行 行 行 行
   行 行 行 行 行

 ではなくて、

       知

 で――
 あるいは、せいぜい、

       知
      行

 で――
 答えることができてしまう――

 ……

 ……

 では、

       知
      行 行
     行 行 行
    行 行 行 行
   行 行 行 行 行

 をフルに活用しなければ正解に至らない問題とは――
 どのような問題でしょうか。

 ……

 ……

 それは――
 例えば――
 以下のような問題です。

  問題
   ディープ・ラーニングを実現し、実社会での活用法を提案せよ。

 あるいは――
 以下のような問題でもよいでしょう。

  問題
   ディープ・ラーニングの後継となる新たな科学技術を開発せよ。

 ……

 ……

 これら問題が――
 入学試験や資格試験に適さないのは――
 火をみるよりも明らかですから――

 入学試験や資格試験で多肢選択式の問題が好まれるのは――
 きわめて自然なことといえるでしょう。