(世界は、2022年2月24日を境に変わってしまった)
と思っています。
――2022年2月24日
というのは――
もちろん、ロシア政府によるウクライナ侵攻の開始の日です。
必ずしも、
――世界は変わってしまった。
という必要はないでしょう。
実際のところ、
――第二次世界大戦終了時点の世界に戻った。
とか、
――すでに第三次世界大戦が始まっている。
とかいった主張がなされることもあります。
今回のロシア政府が行ったことは国際紛争の解決の手段としての武力の行使でした。
それは、第二次世界大戦終了時点(1945年)までにおける国際政治の基本的な論理でした。
この論理は――
1945年以前の世界の歴史を学んでいく上で、それなりに有用であったわけですが――
残念ながら、2022年3月9日時点の国際情勢を読み解く上でも、それなりに有用な論理となってしまっているのです。
そのことが、ただただ悲しい――
……
……
第二次世界大戦後の日本で生まれ育った者として――
日本国憲法にある文言が、今ほど空しく響いたことはありませんでした。
日本国憲法の前文にある、
――われらは平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において――
の文言や――
同じ前文にある、
――いずれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従うことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立とうとする各国の責務であると信ずる。
の文言――
あるいは――
日本国憲法の第9条にある、
――国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
の文言は――
少なくとも、現在のロシア政府の首脳部にとっては――
絵空事以外の何物でもなかった――
ということが明確になったのです。
もちろん、
――たぶん絵空事なんだろうな。
と、多くの日本人が思っていたことでしょう。
が――
その“絵空事”に輝きを見出していた日本人も――
決して少なくはなかった――
その輝きが――
あっという間に色褪せてしまったのです。
――世界は変わってしまった。
というのは――
そういうことでもあります。