マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

世界政府と“超国家共同体”との違い

 ――超国家共同体

 や、

 ――第三次政権革命

 について、きのうまでの『道草日記』で述べました。

 

 簡単に述べ直しますと――

 

 ――第一次政権革命

 を、17世紀イギリスで、いわゆる中流階級の人々が、王侯貴族や宗教指導者などの上流階級に成り代わり、政権の運営に携わるようになったことと捉え、

 ――第二次政権革命

 を、18世紀後半から20世紀中盤にかけて世界各地で、いわゆる植民地の宗主国の主権が弱まり、宗主国以外の国々の主権が強まったことと捉えるならば――

 

 ――第三次政権革命

 は、21世紀中盤から23世紀頃にかけて世界各地で、いわゆる中流階級の人々が、いわゆる旧植民地の宗主国の主権および旧植民地の国々を含む他の国々の主権を一つにまとめてしまうことと捉えられる―― 

 となります。

 

 いずれも僕が勝手に作って使っている言葉です。

 何か学術的な裏付けがあるわけではありません。

 

 ――超国家共同体

 というのは、

 ――第三次政権革命

 によって、もたらされるであろう組織のことです。

 

 文字通り、

 ――国家の枠組みを超えた共同体

 という意味で――

 その前身として、国際連合ヨーロッパ連合北大西洋条約機構といった組織が挙げられます。

 

 ところで――

 

 ……

 

 ……

 

 僕は――

 今回のロシア政府によるウクライナ戦争の勃発を受け、3月23日の『道草日記』で、

 ――やはり世界政府は必要だ。

 と述べました。

 

 ここでいう、

 ――世界政府

 は、

 ――超国家共同体

 と何が違うのでしょうか。

 

 ……

 

 ……

 

 実は――

 大した違いはないのです。

 

 あるのは形式的な違いです。

 

 最も本質的な違いは、

 ――世界政府

 というときには、単一の統治機構が世界各地に張り巡らせていることが前提であるのに対し、

 ――超国家共同体

 というときには、複数ないし無数の統治機構が世界各地に併存をしていることが前提である点です。

 

 単一の統治機構を世界各地に張り巡らせるのは大変に手間のかかることですから、

 ――世界政府

 は簡単には実現をしません。

 

 言語の問題もあります。

 

 そういう、

 ――世界政府

 が樹立をされるよりは――

 21世紀序盤の現代にもみられるような統治機構の分断・併存は残存をしたままで、政治の権力だけが統一をされていく――つまり、

 ――超国家共同体

 の成立のほうが、はるかに実現はしやすいでしょう。

 

 もう一つ、見過ごせない違いがあります。

 

 それは、

 ――世界政府

 というときには、その政権の影響は、少なくとも建前の上では、世界の全ての地域に及ぶのに対し、

 ――超国家共同体

 というときには、その政権の影響は、世界の一部の地域――例えば、北アメリカおよび西ヨーロッパのみ――というように限定をされた地域にしか及ばなくてもよい――

 ということです。

 

 よって――

 いいかえるなら、

 ――世界政府

 は、

 ――超国家共同体

 の成立・発展・拡大の過程の終着にある――

 といえます。