マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

話しあい:“殺しあい”より奥が深い

 ――話しあい

 は奥(おく)が深い――

 と、きのう、のべました。

 

 ここでいう、

 ――奥が深い。

 とは、

 ――その良い点や悪い点が簡単(かんたん)にはわからない。

 ということです。

 

 ――話しあい

 は奥が深いのですね。

 

 少なくとも、

 ――殺(ころ)しあい

 よりは奥が深いといえます。

 

 ぼくは、幸いなことに、殺しあいをしたことは今までに一度もありませんが――

 歴史(れきし)が伝える殺しあいや物語が描く殺しあいをよく調べてみると――

 殺しあいよりも、話しあいのほうが、簡単にはわかりません。

 

 例えば――

 世の中には、

 ――話しあいに強い人

 と、

 ――話しあいに弱い人

 とがいます。

 

 同じように、

 ――殺しあいに強い人

 と、

 ――殺しあいに弱い人

 とがいます。

 

 ――話しあい

 では、

 ――話しあいに弱い人

 どうしで話しあっても、なかなか決着がつきません。

 

 ――話しあいに強い人

 と、

 ――話しあいに弱い人

 とが話しあっても、決着はつきません。

 

 ――話しあいに強い人

 どうしが話しあうときにかぎって、決着がつくのです。

 

 ここでいう

 ――決着がつく。

 とは、

 ――互いの意見の合うところを見つけられる。

 という意味です。

 

 ――話しあい

 の良いところは、

 ――話しあいに強い人

 どうしが話しあうと、とても多くのことがわかりあえ――

 その結果、話しあった人たちだけでなく、その周りにいる人たちにも、良いことが多くもたらされる――

 という点です。

 

 ――話しあい

 の悪いところは、

 ――話しあいに強い人

 が、なかなかみつからない、という点――自分が話しあいに強くなろうと思っても、そんなに簡単には強くなれないという点――です。

 

 一方、

 ――殺しあい

 では、

 ――話しあい

 とは、だいぶ様子が違(ちが)います。

 

 ――殺しあい

 では、

 ――殺しあいに強い人

 どうしで殺しあっても、

 ――殺しあいに弱い人

 どうしで殺しあっても、なかなか決着はつきません。

 

 ――殺しあいに強い人

 と、

 ――殺しあいに弱い人

 とが殺しあうときにかぎって、決着がつきます。

 

 ここでいう、

 ――決着がつく。

 とは、

 ――どちらかがどちらかを殺されてしまう。

 という意味です。

 

 ――殺しあい

 の良いところは――「良いところ」とは、あまりいいたくはありませんが――

 ――決着のつき方がわかりやすい。

 という点です。

 

 ――殺しあい

 の悪いところは、

 ――だれかが命を落とす。

 という点です。

 

 ――殺しあい

 が、

 ――話しあい

 よりも奥が深くないことは――

 すぐにわかるでしょう。

 

 『10 歳の頃の貴方へ――』