教育の仕事に携わっていると、
――小・中学生に本当に教えるべきことは何だろう?
と考え込むことがあります。
どうも主要5教科(4教科)ではないような気がするのです。
例えば――
多くの小学生が、人は、ある程度、算数ができなくても立派に生きていけることを知っています。
たいていの大人にとって、鶴亀(つるかめ)算が、さほど有用でないことを知っています。
あるいは――
多くの中学生が、日本人は英語が全く話せなくても立派に生きていけることを知っています。
日本社会では「apple」を「あっぷる」と発音しても全く支障がないことを知っています。
では、何のために算数や英語を小・中学校で勉強するのでしょうか?
多くの教師が安易な答えを求めます。
いい大学に入るため――いい会社に入るため――
――結局はお前たち自身のため――
と――
(それじゃいかんだろう)
と思うのです。
――いい会社に入る。
が理由なら、それでもいい。
問題は、なぜ「いい会社に入る」なのか――そこを、きちんと説かなくてなりません。
もちろん、小・中学生にもわかるように、です。
簡単なことではありません。
結局、
――人が生きるとはどういうことか?
という問題に直結するからです。
即答できる人は、そう多くはないでしょう。
気になることがあります。
小・中学校の教員の人たちは、この問題を、どう考えているのでしょうか?
教え導く立場としては、まず自分なりの答えを用意しておかなくてはなりません。でないと、とてもやっていられないと思うのです。
しかも、答えは一つで十分というものではない。
自分のライフ・サイクルの位相によって、答えは、いくらでも変わりうるからです。
常に答えを探し続ける努力が必要です。
年に一度くらい、教員同士で真剣に討議してはどうでしょうか。
職員会議を2、3回くらい潰しても十分にやる価値はあるように思います。