欠点のない人間はいない。
どんな人格者も欠点をもっている。
人格者は、欠点を隠すのが巧いだけなのかもしれぬ。
どんな人間にも欠点があるので――
例えば、物語に登場する人物に欠点がなかったりすると、興ざめをする。
リアリティがなくなるからというよりは、人間らしさがなくなるからであろう。
人間は、欠点があって初めて、人間たりうる――
そういって、よいかもしれぬ。
にもかかわらず――
自分の欠点は、気になってしまう。
気になって仕方がない。
(なんとかして直せないか?)
と、結構、深刻に思い詰めたりする。
そういうときは、
(もし、自分の欠点がなくなったら、自分は人間でなくなってしまう)
と考えればよい。
が――
そうも考えられぬ。
(やっぱり、自分の欠点なんか、なくなって欲しい)
と思う。
しばしば、
――自分の欠点を愛せ。
などという。
そうかもしれぬ。
が――
ちょっと、うさん臭い。
(ただの自己憐憫じゃないと、どうして言い切れる?)
などとも思う。