マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

若さの暴力性

 駅の構内の片隅で――

 中学校3年生くらいの女の子が――
 中学校1年生くらいの男の子と並んで座り込んでいた。

 エスカレータから少し離れたところ――
 ガラス張りの壁を背にし、陽の光を十分に浴びながら――

 女の子のほうが、夢中で何かを話している――
 男の子の方へ、身を乗り出すように――

 男の子のほうも、まんざらではなさそうだったが――
 明らかに女の子よりも年下にみえたので――
 女の子のほうが、男の子の注意を必死に繋ぎ止めているように、感じられた。

 唇の動きを目で追うと、

 ――それでね! それでね!

 と、懸命に連呼しているようである。

 何とも微笑ましい一コマではあるのだが――

 僕が感じたのは――
 もう少し違ったことだった。

 とにかく――
 美しい。

 暴力的なまでに美しい。

(若いというのは、ああいうことだ)
 と思う。

 抜群の破壊力である。

 駅の構内に座り込み、人目も憚らずに男の子の歓心を買おうなどとは――
 14歳の女の子がやるから、微笑ましくも美しいのであって――
 24歳の女性がやれば、みっともないだけだし――
 34歳がやれば、ビックリするし――
 44歳がやれば、ギョっとする。

 そういうことなのだ――
 若さの暴力性とは――

 その破壊力の、なんと凄まじいことか――

 あの恐ろしさに――
 当の女の子は、気付きもしない。

 残酷だ。

 が、美しい。