マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

それをいうから、本当に「おしめえ」になる

 ――それをいっちゃあ、おしめえよ。

 という言い草が気になっています。

 有名な映画シリーズの作中の言葉だと理解しておりますが――
 本当に「それをいったらオシマイだ」に相当する句があるのでしょうかね。

 もし、あるのなら、それは、まさにこの言い草でしょう。
「それをいっちゃあ、おしめえよ」――

 たしかに、この言い草をしてしまったら――
 何もかもがオシマイです。

 それをいうから、本当に「おしめえ」になるのです。

 取り返しがつかない言葉というのは、あるでしょう。
 これをいったら最後、信用されなくなる、とかね。

 が――
 何かの言葉を発することで失うような信用ならば、さっさと失っておいたほうが、本人は幸せでしょう。

 周囲も、きっと楽になるはずです。

「それをいっちゃあ、おしめえよ」で気になるのは――
 この句を口にした者は、相手との交渉ないし意思疎通を自らの判断で一方的に打ち切ってしまっている、という点です。

 打ち切りたいと思うのは、人の気持ちですから、どうしようもないのですが――
 本来は、打ち切るのにさえ、相手の了承がいると思うのですよ。

 少なくとも、そこに了承を求めるのが、成熟した大人の態度といえましょう。