マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

芸術とビジネスとを

 一般に、芸術とビジネスとは完全に別物だと考えられがちですが――
 実際には、そんなに明確に分けられるものではありません。

 芸術は、心を通わせることが第一義です。
 芸術家と鑑賞者とが、芸を介し、心を通わせる――

 芸術家が何事かに心を動かされ――その結果、芸術を実践し――その結果、鑑賞者も心を動かされたときに――
 芸術は完遂されます。

 鑑賞者がいなければ、芸術は完遂されないのです。

 ということは――
 例えば、無人島の芸術家は、芸術を完遂できません。
 芸術を始めることはできても、終わらせることができない――鑑賞者がいないからです。

 芸術のこうした性質が、芸術とビジネスとの関係を複雑なものにしています。
 芸術家が鑑賞者を集めたり、あるいは、鑑賞者の需要に応えようとする段階で、ビジネスが発生するのです。

 芸術とビジネスとを完全に分離することはできません。