英語圏の子供たちは、例えば、日本語圏の子供たちと比べると――
計算の初歩で、つまずきやすいのだそうです。
例えば、
10 + 2 = 12
という計算を、日本語圏の子供たちは、
―― “じゅう” たす “に” は “じゅうに”
と理解します。
一方――
英語圏の子供たちは、
―― “Ten” plus “two” equals “twelve”
で理解します。
この計算は、日本語圏よりも英語圏のほうが、ずっと理解に至りにくいのだといいます。
なぜか――
鍵は “12(じゅうに)(twelve)” が握っています。
この “12” という数字が表す概念は、本質的には “10 + 2” です。
その概念を、日本語圏の子供たちには、たちどころに理解します――なぜならば、“じゅうに” は、“じゅう・に” だからです――“じゅう・に” から “10 + 2 = 12” を感じとることは、難しくありません。
が、“twelve” は、そうはいかないのですね――“twelve” からは、“10 + 2” が感じとれないからです。
たとえば、日本語での数字の名前を、次のように振ってみましょう。
1 いち
2 に
3 さん
4 し
5 ご
6 ろく
7 なな
8 はち
9 きゅう
10 じゅう
11 うみ
12 やま
そうすると、
10 + 2 = 12
は、
―― “じゅう” たす “に” は “やま”
となります。
どうでしょう?
格段にわかりづらいですよね――「“じゅう” たす “に” は “じゅうに”」に比べたら――
もちろん、
―― “やま”が 「山」 を連想させるから、わかりづらいのだ。
という指摘は成り立ちえます。
では――
今度は次のように振ってみましょう。
11 いろはに
12 ほへと
すると、
―― “じゅう” たす “に” は “ほへと”
です。
どうでしょう?
やはり、格段にわかりづらいですよね――「“じゅう” たす “に” は “じゅうに”」と比べたら――「 “じゅう” たす “に” は “やま”」と同様に――
英語圏の子供たちが、
10 + 2 = 12
に感じているわかりづらさというのは、こういうものなのです。
計算の初歩で、つまずきやすいというのも――
よくわかります。