抽象的な表現というのは――
それを使う方は、それが暗示している具体例が頭をよぎっているので、なんの躊躇もなく使ってしまうのですが――
使われた方は、その具体例が、少なくとも最初は皆目わからないので、
――なんだ?
と戸惑うことになるのですね。
ですから――
抽象的な表現をするときには――
常に具体的な表現も添えないといけません。
例えば、
――危機管理は、常に最悪の事態を想定してなされる。
というのは、抽象的な表現であり、
というのは、具体的な表現です。
……
……
でも――
人は、ついつい面倒くさくなって――
具体的な表現を省いてしまうのですよね。