フィギュア・スケートや体操などの採点競技では――
いわゆるガッツ・ポーズをしてはいけないことになっています。
これを、僕は、
――マナーの問題
だと思っていました。
採点競技では――
演技の完成度を、技術的な難しさだけでなく、芸術的な美しさの観点でも評価します。
よって――
いわゆるガッツ・ポーズは、
――はしたないもの
とみなされ、採点上、不利になる――
ゆえに――
ガッツ・ポーズはしてはいけないことになっているのだ、と――
ところが――
実際は、そうではないのだそうです。
本当の理由は、
――採点者の心理に影響を与え、採点に偏りをもたらすから――
というもの――
選手が演技終了後に会心の笑みでガッツ・ポーズをすれば――
少なくとも選手自身は自分の演技に十分に満足していることが示唆されます。
その示唆によって採点者が無意識に影響を受け――
その結果、採点基準が甘くなってしまう――
だから、採点競技ではガッツ・ポーズをしてはならないのだ、と――
ガッツ・ポーズが「マナーの問題」ではなく、「フェア・プレイの問題」であるということに――
正直、僕は驚きました。
が――
いわれてみれば、たしかに納得でしたね。
というのは――
ガッツ・ポーズの中には、全然はしたなくないもの――謙虚で控えめで柔らかいもの、華やかで輝いていて美しいものが、たしかにありますので――