意味のある偶然の一致を、
――シンクロニシティ(synchronicity)
と呼びます。
――共時性
という訳語が用いられることもあります。
このシンクロニシティに超自然的な因果関係を見出そうとするのは――
当たり前の人情です。
例えば、
――疎遠となっていた友人のことを何年かぶりに思い出してメールを出そうと思っていたら、その友人から先にメールが来ていた。
というようなときに――
人は、
――単なる偶然の一致であった。
とは考えず、
――自分の思いが友人に通じたのではないか。
と考えがちです。
が――
自然科学的に考えるならば、
――偶然の一致が偶然にも意味をもった。
となります。
つまり――
この世界では、実は偶然の一致が無数に起こっていて――
その一致が、ある確率で、意味をもってくる――
そして――
偶然の一致が偶然にも意味をもったときに――
それを人はシンクロニシティと認識する――
そういうことです。
……
……
先ほどの例でいえば――
――疎遠となっていた友人のことを何年かぶりに思い出してメールを出そうと思っていたら、知り合ったばかりの顧客からメールが来ていた。
とか、
――疎遠となっていた友人のことを何年かぶりに思い出してメールを出そうと思っていたら、その友人が職場の同僚にメールを送っていた。
とかいった類いの偶然は――
実は、しょっちゅう起こっていて――
ごく稀に、
――疎遠となっていた友人のことを何年かぶりに思い出してメールを出そうと思っていたら、その友人から先にメールが来ていた。
といった偶然が起こる――
そういうことです。