今日、道を歩いていたら――
1年くらい前に読んだ科学書のことを思い出した。
ある生物学者が書いた本である。
なぜ思い出したのかは、わからぬ。
道を歩いていたら、急に、
(あ! あの本のあそこに書いてあったことは間違っている!)
という感じで、思い出した。
不思議なことである。
もっとも――
その数分前までは、自分の原稿のことを考えていた。
それが引き金になったのかもしれぬ。
いずれにせよ、一旦、
(あそこに書いてあったことは間違っている!)
と思ってしまうと、あとが大変だ。
どんどん気になりだしていく。
幸いなことに、
――あそこに書いてあったこと
は、数学がらみの話題であった。
数学がらみなら、自分の手元で確認できる。
実験がらみだと、そうはいかぬ。
で――
先ほど、確認をした。
途中の考察は間違っていたが、結論はあっていた。
全体的な論旨には、とくに影響はなかった。
科学の世界では、よくあることである。