マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

工学と医学と

 工学や医学は、ともに応用学に分類されますが――
 その営みの方向性は、

 ――ほぼ正反対

 といってもよいように思います。

 工学では、まず物理などの現象を理解し――
 その理解を確認するために、機械などを作ります。

 つまり、現象の理解を前提に技術を実現させます。

 それに対し――
 医学では、現象の理解は二の次です。

 とりあえず何か治療を行って――
 その結果をみて、病理などの現象を理解します。

 つまり、技術の実現を基に現象を理解します。

 まとめると、

  工学:理解→実現
  医学:実現→理解

 です。
 まさに正反対です。

 もちろん――
 医学は治療が全てというつもりはありません。

 治療のためには準備が必要で――
 それが診断です。

 実は、医学の中では、診断学は治療学以上に重要な役割を担っています。

 が――
 もし、

 ――治療のための診断

 という図式を、あえて重視するのなら――
 以下のことがいえるでしょう。

 つまり、工学と医学とは「ほぼ正反対」である、と――

「正反対」ということは「相補的」ということなのかもしれません。

 工学と医学とは、相性が悪いようで良い――あるいは、相性が良いようで悪い――と、僕は思っているのですが――
 その理由は、

 ――工学と医学とは相補的だから――

 なのかもしれません。