マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

2024-01-01から1年間の記事一覧

侵略を始めることができた理由

2022年2月中旬―― ロシア政府の最高指導者の脳裏に、13世紀前半のウラジーミル・スーズダリ大公国の不名誉が実際に去来をしていたか否かは、ともかく―― その史実を直観的に思い浮かべたロシア人が、一定の割合で存在をしていた可能性は―― 誰にも否定をされえ…

「攻め込むわけがない」と、なぜいえる?

2022年2月中旬―― ロシア政府がウクライナ侵略を始める直前―― ロシア政府の最高指導者は、 ――北大西洋条約機構の軍がロシアへ攻め込んでくる。 という懸念を切実に抱いていたように感じられた。 それを―― 北大西洋条約機構の加盟国および、それら加盟国の同盟…

ウラジーミル・スーズダリ大公国の不名誉

ロシアと向き合う時は―― 以下の2つのことを踏まえる必要がある。 ――若い歴史の国である。 ――歪な構造の国である。 もう1つ―― 踏まえておくのがよいことがある。 それは、 ――名誉挽回の国である。 ということだ。 ロシアの祖であるモスクワ公国は―― 旧ルー…

ロシアとは――

――ロシアとは、いかなる国か。 この問いに向き合う上で―― 欠かせぬ理解が2つある。 1つは、 ――ロシアは若い歴史の国である。 ということ―― その祖であるモスクワ公国が、モスクワ大公国となり、ロシア・ツァーリ国となり、ロシア帝国へとなっていった。 そ…

この決裂が――

キーウからモスクワへの権力の移管が、 ――タタールの軛(くびき) のない時代に完了をしていたならば―― 旧ルーシの近現代史は、だいぶ変わっていたに違いない。 ウクライナもロシアも―― 時代の流れの帰結として―― キーウからモスクワへの覇権の移ろいを自然…

もし“タタールの軛”のない時代に――

――タタールの軛(くびき) は、今日のロシアに暗い影を落としている。 政治史的に――というよりは、文化史的に――強いていえば、精神史的に―― である。 純粋に政治史的には―― モスクワ公国が、モスクワ大公国となり、ロシア・ツァーリ国となり、ロシア帝国への…

亡国ルーシの残像

――モスクワ公国 の発足は、13世紀の後半と考えられる。 当初は、 ――ウラジーミル・スーズダリ大公国 と呼ばれる旧ルーシの分国の、 ――そのまた分国―― だった。 このモスクワ公国が―― 14世紀初頭、にわかに版図を広げ、 ――モスクワ大公国 と名を変える。 やが…

屈辱の時代――タタールの軛

ルーシの諸侯たちは、モンゴルに征服をされ―― 13世紀前半から15世紀後半にかけ、屈辱の時代を過ごした。 この時代は、 ――タタールの軛(くびき) と呼ばれる。 ――タタール とは―― 本来、ユーラシア大陸の広大な草原で暮らしていたトルコ系民族のことを指すが…

我こそ亡国ルーシの再興者たらん

東欧・北欧の専制国家ルーシを、13世紀初頭、東方から襲ったのは、 ――草原の帝国 モンゴルだった。 初代君主チンギスの時代に―― 武力偵察を狙ったと考えられる小規模な侵略があり―― 二代君主オゴデイの時代に―― 本格的な侵略が始まった。 ルーシでは、相も変…

どちらも「自分たちこそが“親”だ」と――

ロシア人たちもウクライナ人たちも「自分たちこそが“親”だ」と思ってきた―― それゆえに起こったのが、2022年のロシア政府によるウクライナ侵略である―― そう考えれば―― 合点がいく。 あの戦いの凄惨さの理由が―― よくわかる。 …… …… ――どちらも「自分たちこ…

親子喧嘩

ロシア政府によるウクライナ侵略の戦争では―― 2023年秋頃から次第に厭戦気分が漂い始めている。 ウクライナ軍が反転攻勢を仕かけ、 ――思うような成果を上げられていない。 と判明をした頃である。 …… …… この数年で顔見知りになった高齢の男性がいる。 長ら…

遅すぎた

ウクライナ政府の最高指導者が―― 2022年のロシア政府によるウクライナ侵略を防ぐには―― どうすべきだったか。 一つは―― ロシア政府の最高指導者が、自分の政治生命を奪おうとは思わぬように振る舞うべきだった。 そのために―― ロシア政府の最高指導者と、あ…

どうすべきだったか

2022年のロシア政府によるウクライナ侵略は―― ロシア政府の最高指導者が、ウクライナ政府の最高指導者の政治生命を奪いに行ったために―― 起こった。 ロシア政府の最高指導者は―― それを奪いに行くべきではなかった。 奪いに行き―― 奪えず―― 国家間の殺し合い…

政治の“殺し合い”から国家間の殺し合いへ

――政治の“殺し合い” は、しばしば、 ――国家間の殺し合い と化す。 ――政治の“殺し合い” の「殺し合い」とは、 ――政治生命の遣り取り を含む。 普通は、 ――命の遣り取り は含まぬ。 が、 ――国家間の殺し合い の「殺し合い」とは、 ――命の遣り取り を指す。 何…

非凡な政治家は――

平凡な政治家は―― 逃げずに戦おうとする。 が―― 非凡な政治家は違う。 できるだけ戦わずに、うまく逃げようとする。 政治の“殺し合い”を避けようとする。 なぜ―― それを避けようとするのか。 …… …… 政治の“殺し合い”は―― しばしば国家間の殺し合いと化すから…

平凡な政治家は――

政治家は―― 政治をわかりやすくするために、 ――殺し合い を厭(いと)わぬ。 それが―― 本物の「命」の遣り取りか、政治家の「政治生命」の遣り取りかは―― 別にして―― …… …… 特に、 ――平凡 たらんとする政治家は、 ――政治に“殺し合い”は必要だ。 と考える。 ―…

政治をわかりやすくする

政治は“殺し合い”が、わかりやすい―― その「殺し合い」で遣り取りをされるのが、本物の「命」か、政治家の「政治生命」かは措くとして―― …… …… つまり、 ――政治では邪魔者の“命”を奪っておけ。簡単なことだ。 というわけである。 これに対し―― 邪魔者と誼(…

政治生命の殺し合い

近代以前までの政治では―― 殺し合いが普通であった。 あるいは、 ――殺し合いが厭(いと)われることはなかった。 というほうが穏当かもしれぬ。 …… …… 現代は少し違う。 少なくとも現代の民主主義の国家では―― 殺し合いは厭われる。 政治に携わっていて―― 誰…

政治は殺し合いが――

政治では殺し合いが、わかりやすい。 なぜか。 それは―― 政治の本態を考えれば、わかる。 …… …… ――政治の本態 とは、 ――社会の利害調整 である。 利益は公正に分配をし―― 損害は公平に分散をする―― その“調整”を試みる者の前に―― 必ず立ちはだかるのが、 ――…

政治史は恐ろしい

政治は、 ――平凡 を旨とする。 よって―― 政治史は、わかりやすい。 裏を返すと、 ――政治史に疎い。 は許されぬ。 わかりやすいことをわからぬままにしておくのは―― 知的誠実さに欠ける態度だ。 とはいえ―― …… …… 政治史は恐ろしい。 近代以前―― 政治の多くは…

政治史を知るのは易しい

文化史は―― 概して非凡の者たちによって紡がれている。 だから―― 難しい。 政治史は違う。 人の世の大多数を占める凡人たちと―― それら凡人たちの総意を汲み取ることに長けた英傑たちによって―― 紡がれている。 だから―― 易しい。 …… …… 凡人たちは――英傑た…

文化史を知るのは難しい

――歴史 といえば―― 普通は、 ――政治史――政治の歴史 である。 これとは別に―― いわゆる、 ――文化史 がある。 ――学術の歴史 ――芸能の歴史 ――産業の歴史 などが、それだ。 …… …… 文化史を知るのは難しい。 なぜか。 それは―― 学術や芸能、産業の歴史は―― 概して…

政治の変革が完結をするところ

歴史を知る上で、 ――凡人たちと非凡の者との垣根 は決して見落としてはならぬ。 が―― それは、あくまで政治史――政治の歴史――に限ったことである。 学術の歴史や芸能の歴史、産業の歴史においては―― その“垣根”は、しばしば軽々と飛び越えられる。 非凡の者が…

凡人たちと非凡の者との垣根

英傑とは、非凡の者であり―― その非凡の者が、凡人たちに働きかけ―― その総意を、自分の意志と同じ速度で、移ろわせる―― と考えている者がいるとすれば―― その者は、 ――凡人たちの総意 の頑強さを―― 少し甘くみすぎている。 凡人たちは人の世の大多数を占め…

英傑の指導性(3)

英傑は、凡人たちの総意の移ろいに、いち早く気づき―― その移ろいの速度よりも十分に大きな速度で―― 自分の意志を移ろわせる。 そうすることで―― 凡人たちの総意の移ろいの先回りをする。 この、 ――先回り が、 ――英傑の指導性 の原理といえる。 この“先回り…

英傑の指導性(2)

価値評価の疑似空間の原点が移ろえば―― その移ろいとは正反対の方向へ―― 自分の意志が移ろうのを感じるはずである。 原点が移ろうということは―― 座標軸が移ろうということだからである。 例えば―― 価値評価の疑似空間が 3 次元とみなす時に―― その原点が、 …

英傑の指導性(1)

価値評価の疑似空間では―― 個の“人の意志”の移ろいは―― 人の世の大多数を占める凡人たちの意志の相加平均を原点とし―― その原点に対する運動として表される。 凡人たちの意志の相加平均は、統計力学の発想によれば、ほとんど移ろわぬとみなせるので―― 個の“…

統計力学の発想

人の意志の性質を表す価値評価の疑似空間は―― 人の意志が、時の経過によって、どのように移ろうかを―― 表すこともできる。 例えば、 ――私の意志は、10代・20代から30代・40代にかけ、時代軸では革新から保守へ移ろい、世界軸では博愛から偏愛へ移ろい、精神…

価値評価の疑似空間

人の世の大多数の凡人たちが形成をする総意――凡人たちの意志の相加平均――は―― 常に原点を漂う―― そのように原点を設ける。 ここでいう「原点」とは―― 人の意志の性質を何本かの軸――価値評価の座標軸――で表すことで得られる疑似空間における―― 原点――各座標が…

凡人たち

人の世の大多数の凡人たちが形成をする総意――凡人たちの意志の相加平均――というものは―― 当然のことながら―― 概して平凡である。 ここでいう、 ――平凡 とは―― 人の意志の性質を何本かの軸――価値評価の座標軸――で表す時に―― いずれも平均の値をとる―― という…